XでのカバーはJASRACに申請が必要?「歌ってみた」「弾いてみた」の著作権を正しく理解する完全ガイド【2026年版】
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2026年4月、JASRACの公式XがX(旧Twitter)への「歌ってみた」「弾いてみた」動画投稿について声明を発表し、大きな話題となっています。
「YouTubeはOKなのにXはダメなの?」
「ボカロ曲は関係ない?」
「原盤権ってなに?」——
こうした疑問が飛び交うなか、情報が断片的に拡散されており、正確に理解できていない人が多い状況です。
本記事では、歌い手・DTMerとして知っておくべき著作権の基礎から、今回の騒動の本質まで、正確な情報を体系的に解説します。
著作権管理の仕組みを理解しよう

JASRACとNexToneの役割とは?
音楽の著作権(作詞・作曲に関する権利)は、原則として作詞家・作曲家が持っています。
しかし個人がすべての利用を管理するのは現実的ではないため、著作権管理団体に委託するのが一般的です。
日本の主な著作権管理団体は2つです。
団体名 | 特徴 | 主な管理楽曲 |
JASRAC(日本音楽著作権協会) | 国内最大手。J-POP・演歌・洋楽等を幅広く管理 | 約1,900万曲以上 |
NexTone | 2015年設立の新興管理団体 | ボカロ曲・アニソン・インディーズ楽曲など |
重要なポイントは、JASRACとNexToneは別の組織であり、楽曲ごとにどちらが管理しているかが異なるという点です。
自分が歌いたい曲がどちらの管理かは、各団体の楽曲検索データベースで確認できます。
JASRAC:J-WID(作品データベース検索サービス)
NexTone:NexTone 作品検索データベース
包括契約とは?YouTubeがOKな理由
SNSやプラットフォームが著作権管理団体と「包括利用許諾契約」を結ぶと、そのプラットフォーム上での楽曲利用についてプラットフォーム側がまとめて使用料を支払う仕組みになります。
これにより、個々のユーザーが曲ごとに申請・支払いをしなくても合法的に投稿できます。
YouTubeに「歌ってみた」を気軽に上げられるのは、この包括契約があるからです。
現在、JASRACおよびNexToneの両方と包括契約を締結しているプラットフォームの主な例は以下のとおりです。
プラットフォーム | JASRAC | NexTone |
YouTube | ✅ | ✅ |
✅ | ✅ | |
TikTok | ✅ | ✅ |
Twitch | ✅ | ✅ |
LINE LIVE | ✅ | ✅ |
X(旧Twitter) | ❌ | ❌ |
なぜXのカバー投稿は申請が必要なのか
JASRACの公式声明が示す事実
2026年4月14日、JASRACの公式Xが以下の内容を投稿しました。
Xについては現時点で、JASRACとの間で契約が締結されておりません。そのため、JASRACの管理楽曲をXに投稿する際は、投稿者による個別でのJASRACへの申請が必要となります。
ポイントは「現時点で」という言葉です。JASRACはこれまでもSpotifyとの包括契約が実現するまでの間、「現時点では未契約」という表現を使い続けてきた経緯があります。
今後Xとの交渉が進む可能性は残されており、将来的に状況が変わる可能性は十分あります。
多くの人が見落としている:NexToneも同じ状況
今回の話題で見落とされがちですが、NexToneもXとは包括契約を結んでいません。
JASRACのポストを見て「自分はボカロ曲しかカバーしないから関係ない」と思った方は要注意です。
多くのボカロ曲やインディーズ楽曲を管理するNexToneも、XではJASRACと同様に個別申請が必要な状況です。
つまり、J-POP・洋楽・ボカロ・アニソン問わず、Xへの動画投稿は管理団体への個別申請が原則必要です。
「著作権」と「原盤権」は完全に別物

ここが最も誤解されやすいポイントです。
著作権(JASRAC/NexToneが管理)
作詞家・作曲家が持つ権利。
メロディと歌詞に関する権利で、JASRACやNexToneが管理・代行します。
著作隣接権(原盤権)
レコード会社などが持つ権利。
CDやストリーミングで流れている「音源そのもの」に紐づく権利であり、JASRACやNexToneの管理外です。
具体例:
「Aというアーティストの人気曲のカラオケ音源(オフボーカル音源)をバックに自分が歌う」場合、著作権(JASRAC)の申請だけではなく、その音源を作ったレコード会社への原盤権の許諾も別途必要になります。
現実的に個人への許諾は難しいケースが多く、自分で演奏・制作したカラオケ音源を使うのが最もクリーンな方法です。
権利の種類 | 管理者 | 対象 |
著作権(作詞・作曲) | JASRAC / NexTone | メロディ、歌詞 |
著作隣接権(原盤権) | レコード会社など | 既存の音源データ |
Xで合法的にカバーを投稿する方法
方法①:JASRACへ個別申請する
個人がJASRACに申請する場合、費用の目安は以下のとおりです(非商用・ストリーミングの場合)。
利用曲数 | 費用の目安 |
1曲 | 月額150円 / 年額1,200円 |
9曲以上 | 年額10,000円(定額) |
意外と安い、と感じる方も多いのではないでしょうか。
申請手続きはJASRACのウェブサイトから行えます。NexTone管理楽曲については、NexToneへの別途申請も必要です。
【⚠️超重要:収益化アカウントの落とし穴】
上記の定額プランは、あくまで「広告料などの収入がない(非営利)」ことが条件です。
Xの「クリエイター広告収益分配プログラム」などをオンにしているアカウントは「営利目的」とみなされ、個人の定額プランは適用されません。
商用利用の扱いとなり、最低でも月額5,000円(年額60,000円〜)と料金が大きく変わるため、ご自身のアカウントの収益化状況には十分に注意してください。
方法②:YouTubeにアップしてXにリンクを貼る
最もリスクが低く、現実的な対応策です。YouTube(包括契約済み)に「歌ってみた」動画をアップし、そのURLをXでシェアするだけで問題を回避できます。
再生数の分散は惜しいかもしれませんが、権利面では最もクリーンな方法です。
方法③:権利フリー・自作楽曲のみ使用
自分でオリジナル曲を制作してカバーする、またはCC(クリエイティブ・コモンズ)ライセンスの楽曲など、許諾条件を確認したうえで使用する方法です。
「みんなやっている」は通用しない

X上には現在も無数のカバー動画が存在しています。
しかし、「権利者が黙認している状態」と「合法」は別物です。知らなかったでは済まされないのが著作権の世界。
著作権侵害は親告罪ですが、アーティスト側が声を上げれば法的リスクが生じます。
権利関係を正しく理解して行動することが、業界全体への信頼につながります。
DTMerとして知っておくべきこと

今回の騒動は、「権利処理の知識」がいかに重要かを改めて示しています。
作曲・編曲を学ぶうえで、著作権・原盤権・隣接権といった権利の知識は、クリエイターとしての活動を守るための必須スキルです。
Music Heartsでは、作曲やMIXのスキルだけでなく、音楽で活動するうえで必要な実践的な知識もカバーしながら、あなたの音楽キャリアをサポートしています。
まとめ:今日から気をつけること

Xへの「歌ってみた」「弾いてみた」動画投稿は、JASRACもNexToneも個別申請が必要
「ボカロ曲だから関係ない」は誤解。NexToneも未契約
JASRACへの申請で解決するのは著作権のみ。カラオケ音源を使う場合は原盤権も別途確認が必要
最もクリーンな代替案はYouTubeにアップしてXにリンクを貼る方法
個人申請の費用は年額1,200円〜(9曲以上は10,000円定額)
「独学でDTMに限界を感じている」
「何をすればいいかわからない」
「音楽のスキルを向上させたい」
あなたの「やりたい音楽」や「理想までの道筋」をプロが探して最適な「学び方」や「必要なスキル」などを一緒に考えます
※日時は後からいつでも変更可能です!
※本記事の情報は2026年4月時点のものです。
著作権法・各団体の契約状況は変更される場合があります。個別の権利処理については各管理団体の公式情報をご確認ください。



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